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株式会社平和様の AWS 生成 AI 活用事例 : 社員全員が使える生成 AI アシスタントをリリース

株式会社平和は、1960 年設立の遊技機開発・製造・販売を行うメーカーです。「もっと楽しめる未来をつくろう」を合言葉とした総合レジャー企業を掲げており、グループとしては遊技機事業のほかゴルフ事業も手掛けています。本ブログでは、平和が開発した生成 AI 基盤の概要とその中でどのように HAQM Bedrock が活用されているかを紹介します。

課題と背景

平和では生産性向上を目指した取り組みを始めるにあたり、生成 AI の活用が社内で注目を集めることになりました。しかし生成 AI の導入に向けて、いくつかの課題が浮き彫りとなっていました。主な課題としては以下が挙げられます。

  1. 明確に使いたい人が特定できていない状況でのシステム選定
  2. 内製で検証を始めるにあたって、社内に AI 有識者の不在
  3. 利用者一人当たりにかけられる予算の上限

これらの課題に対して、より実用的で効果的な生成 AI 活用の基盤づくりが求められていました。

ソリューションの概要

そのような課題がある状況で生成 AI の活用検証にあたり、Bedrock Claude Chat を選定いただくこととなりました。本プロジェクトの推進役となった管理本部 システムグループ システムチームの開発メンバーからは、「想像以上に簡単に始めることが出来ました」とコメントをしたように、開発自体は 1 か月で完了しました。さらに「生成 AI アプリを内製するにあたってのノウハウがあまりない中、スピード感をもって検証開始をできたことに手ごたえを感じています」とコメントがありました。また、従量課金ベースで少額の投資からスタートできるポイントも、検証を始める上での好材料でした。
なお、Bedrock Claude Chat が元々持っていた認証基盤を SAML 連携する形で自社向けにカスタマイズし、業務での活用においてもセキュアにアクセスができるように生成 AI 利用環境を整備しています。

図 1 : 実際のアプリケーションの利用画面

図 1: 実際のアプリケーションの利用画面

全社展開に至るまで、事前に 3 か月のテスト導入期間を設け、まず社内のさまざまな部署から数名ずつ検証メンバーを募り、60-70 名を対象とした自身の業務に対する検証利用を行いました。その利用方法は議事録作成、社内稟議書の起案、プログラムのコード生成等多岐にわたります。社内情報が漏洩するリスクのないセキュアな環境だからこそ、気軽に利用できることが評価され、テスト導入時のアンケートでは 8 割近くの利用者が「生成 AI は業務上の活用に効果あり」と回答しています。人によっては「1 日の業務が半分近くになった」という結果がみえたのと同時に、会社全体からユースケースに対する具体的な要望が検証前後で大幅に増加しました。「こうした要望は、AWS で生成 AI を試してみなければみえてこなかった世界でした」と別の開発担当者は語ります。

以下が株式会社平和 生成 AI 基盤のアーキテクチャーの概要になります。

図 2 : 株式会社平和 生成AI基盤のシステム構成

図 2: 株式会社平和 生成 AI 基盤のシステム構成

導入効果と今後の展開

Bedrock Claude Chat をベースとしてカスタマイズをしたことで、たった 1 か月程度で開発することができました。また、検証期間を経て 500 名を超える会社全体で使える生成 AI アプリ基盤のリリースに成功しました。しかし、利用者を拡大するための社内広報活動に時間を要した面もお話をいただきました。
「導入検証を行うにあたって各部門にアプリケーションを概要と生成 AI でできることを説明する小規模勉強の実施を半年間で 20 回以上行いました」

また、全社導入後、利用者の上位に新入社員の名前が見られたことも一つの特徴でした。「新卒社員も生成 AI を活用することで基本的な疑問点を自主的に解決しており、例年以上の速さで成長し、ポテンシャルの底上げにつながっています」と実際の利用部署からコメントがあったように、社員の育成面にも好影響が出ています。
開発をリードしたチームのマネージャーからは、「ある程度慣れ親しんでいる AWS で、しかも OSS として公開されている Bedrock Claude Chat をベースにして開発するという体験は、今までの業務から離れて世の中の動きを知るきっかけになりました」と語っています。別の開発担当者からも、「生成 AI も HAQM Bedrock を利用することで非常に簡単に実装できるということが分かりました」とビジネス投入までのリードタイムの短さを高く評価しています。

Bedrock Claude Chat は、アプリケーションのソースコードはもちろん、AWS の各種サービスがビルディングブロックで組み合わされたものを CDK のかたちで OSS として公開しています。そのままお使い頂くこともできますが、今回の事例のようにカスタマイズして使う事もできるようになっているのが特徴です。

「クラウドの良さであるスピード感とコストを生かせたと感じています。この先は、社員全員が当たり前に使いこなせるように利用率をさらに高める動きをしていきます」と、将来のさらなる社内生成 AI 推進に高い意欲をのぞかせています。

なお、同社では今後の展開として以下のようなことを検討しています。

  • RAG 追加による社内情報を用いた業務効率化
  • エージェント機能の追加
  • HAQM Kendra へのファイル連携機能の効率化
  • 遊技機事業に特化したユースケースの拡大

まとめ

本ブログでは、平和で導入した AI アシスタントサービスの紹介とその中で HAQM Bedrock や Bedrock Claude Chat がどのように活用されているかを紹介しました。 HAQM Bedrock を利用することによって、みなさまの AWS 上のワークロードに生成 AI を活用した機能を容易に組み込めます。本ブログが生成 AI を活用されている皆様の参考になりましたら幸いです。

本ブログは、株式会社平和と HAQM Web Services Japan が共同で執筆しました。

株式会社平和について

  株式会社平和は 1960 年設立の遊技機メーカーです。「もっと楽しめる未来をつくろう」を合言葉に、遊技機事業と子会社の PGM、アコーディア・ゴルフが展開するゴルフ事業の両輪で総合レジャー企業を目指しています。