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【開催報告】AWS at リテールテック JAPAN 2025 – AWS ブースとライトニングトークのアーカイブ動画公開

2025/4/14 更新:イベントが閉幕したため、イベント案内ブログを開催報告として更新しました。

リテールテック JAPAN は、今回、開催 41 回目を迎える国内最大の流通業向け情報システム総合展示会(日本経済新聞社主催)です。今年は 2025 年 3 月 4 日から 7 日までの 4 日間、東京ビッグサイトで開催されました。人件費の適正化、顧客体験(CX)の向上、廃棄/機会ロスの削減などの観点から、小売業における IT 活用が当然になりつつある中、テクノロジーの新たな活用方法を提案するソリューションを各社が展示し、盛況のうちに閉幕しました。リテールテックの発表では、4 日間の来場者数は延べ 75,845 人となったそうです。

AWS は 2017 年以来 8 年ぶりに同展示会に出展し、AWS、HAQM、AWS パートナーとともに流通小売業界の抱える課題に答える、実践的なデモンストレーションを展示しました。期間中に AWS ブースにご来場いただいたお客様は延べ 3,000 人を超え、活気のあるものになりました。またご来場いただけなかったお客様や、デモだけ見た、トークだけ聞いた、といったお客様に向けて、AWS ブースの展示テーマや展示デモのハイライト、また AWS ブースのミニシアターで実施した AWS によるライトニングトークを紹介する振り返りセミナーを「【流通小売/消費財/EC 企業向け】 AWS at リテールテック JAPAN 2025」として 4 月 3 日に配信しました。このブログでは、この配信のアーカイブ動画とともに AWS ブースの展示内容をあらためてご紹介します。

振り返りセミナー: アーカイブ動画 | 資料

AWS 展示ブーステーマ 「The Future of Retail – クラウドと生成AIが実現する新たな顧客体験」

業界の対応するべき課題は多岐にわたりますが、今回の展示では「実際に見て、触れて、体験できる “顧客体験”」をコンセプトに、カスタマージャーニーの各ステージで役立つアイデアをご紹介する、という趣向になっています。AWS らしく「お客様にこだわる」視点を重視していること、また最新テクノロジーの代表と言える生成 AI をあらゆる展示で取り込んでいることも特徴です。

ブーステーマについて解説動画を以下からご覧いただけます。

ブースツアー

AWS ブースは 5 つのテーマで構成されています。現地では開催期間中、AWS ブースをこのテーマに沿って、15 分ほどで AWS メンバーが解説付きでご案内する「ブースツアー」を行い、毎日多くのお客様にご参加いただきました。現地で展示していたデモを解説付きで「バーチャルブースツアー」として、振り返りセッションでも再現しました。アーカイブ動画でその内容をご覧いただけます。

顧客エンゲージメント(購入前)

購買者 = 顧客との接点は、顧客が店舗に来店するあるいは、EC サイトやアプリにアクセスする前から始まっています。小売業の皆さまは、新規顧客を獲得する、既存顧客とより深いエンゲージメントを築く、顧客からのロイヤルティを得るために、日々模索していと思います。顧客のデータを一元化し、適切なタッチポイントに適切なタイミングで有効な広告を届けることで、来店前の顧客とのエンゲージメントをポジティブに、ビジネス効果の高いものにすることができます。さらに生成 AI が加わることで顧客一人ひとりを理解する「ハイパーパーソナライゼーション(高度なパーソナライゼーション)」を実現することができます。

このテーマでは、顧客データプラットフォーム (CDP) による統合顧客プロファイルの重要性(AWS パートナー – Tealium Japan 株式会社)とターゲットを絞ったマーケティングキャンペーンと効果測定(HAQM Ads)のデモンストレーションを行いました。

スマートストア

顧客とつながる、コネクテッドなショッピング体験は、デジタル世界だけでなく実店舗において、生成 AI によって大きく進化しています。デジタルの活用が進んでいるとはいっても、小売業界において 72% の売上は、依然として実店舗からもたらされています(出典)。そして、顧客にとってデジタルショッピング体験は既に特別なものでなく当たり前のものであり、その体験は実店舗でのショッピングにおいても当たり前の期待値になっています。AWS は Just Walk Out テクノロジーのように購買体験を直感的に変革するサービスを提供してその期待値に応えています。自分のイメージや自分の部屋などに実際に商品がマッチしているのか確認しながらの接客や試用/試着商品の選択によって、より高いコンバージョン率や店舗でのエンゲージメント向上に繋がることでしょう。

スマートストアのテーマにおいては「デジタルショッピング体験の便利さに慣れた顧客に、リアル(実店舗)でも同じ期待値を提供する」をビジョンとし、部屋の模様替え(AWS Room Makeover デモ)とファッションスタイル(バーチャル試着デモ)の 2 つのショッピングシーンを例とした、店舗でのデジタル技術の活用案をデモンストレーションしました。

デジタルコマース

デジタル世界のショッピング体験は、E コマースからソーシャルメディアへと広がり、さらには AI/ML、AR/VR、高度なパーソナライゼーションなどの最先端技術の適用によって、日々変革がもたらされています。新たな技術が顧客の購買ジャーニーを強化し、デジタル領域での購買決定の方法を変え続けています。デジタルショッピングを実際のショッピングと同じくらいに自然で、直感的なものにすることが求められるようになっています。特にブランドや小売業者の 55% が、今後 3 年間でイマーシブコマース(没入型ショッピング体験)への投資を増やすとしている (出典: Coresight Research and Obsess Q4 2023 Survey) のは注目するべきトレンドです。

デジタルコマースのテーマでは、デジタルの世界でも店舗で店員さんに相談するように話をしながら商品を選ぶ(AWS AI ショッピングアシスタントデモ)、没入型体験を通じて自然なショッピング体験を提供しつつエンドレスアイルも実現する(HAQM Beyond および、AWS パートナーを活用した没入型店舗の顧客事例)を紹介しました。

もう一つデジタル世界のショッピング体験で欠かせないもの、それは「オンライン決済」です。E コマースサイトなどに多様な決済手段を揃え、顧客にフリクションレスなショッピングを提供する必要があります。「安全」であることも不可欠です。一般社団法人日本クレジット協会によると、2024 年 7 月~ 9 月の期間だけでもクレジットカード不正利用被害額は 132.7 億円にものぼります。各社の取り組みが進み、2023 年同時期に比較すれば減少傾向には転じたものの、「番号盗用」による被害、つまり主に E コマースサイトにおける不正利用が 90% を占めています。

ここではオンラインビジネスの成長を強力にサポートする信頼性の高い決済プラットフォーム(AWS パートナー – ストライプジャパン株式会社)のデモンストレーションを行いました。

顧客エンゲージメント(購入後)

顧客にとって商品の購入はゴールではなく、購入してからその商品との体験が始まります。LTV (Life Time Value:顧客生涯価値) に注目している企業も多いでしょう。この LTV 向上にとって、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス; CX)は重要な要素です。購入時だけでなく、その後のカスタマーサポートやカスタマーフィードバックを介してあらゆる顧客接点を分析し、よりよい顧客体験を提供するための PDCA サイクルを繰り返すことで、顧客エンゲージメントは初めて真価を発揮します。CX を計測する指標やそのデータの収集・調査の進め方、分析結果の活用方法もデジタル技術により多様化しています。

顧客エンゲージメント(購買後)のテーマでは、この CX 管理(AWS パートナー – クアルトリクス株式会社)のデモンストレーションを行いました。

プロダクトイノベーション

マッキンゼーの調査によると、生成 AI によるプロダクト設計の生産性向上には、600 億ドル、日本円で 9.1 兆円という驚異的なビジネスチャンスがあることが明らかになりました(出典: McKinsey, March 2024)。これは単なるコスト削減ではなく、イノベーションを加速させ、プロダクトをより早く市場に投入し、売上に直接的に貢献します。小売業や消費者ブランドにとって、これはプロダクトの発想と開発方法からマーケティング施策まで、大きなイノベーションをもたらすものです。

このテーマでは、「プロダクトデザインの民主化」をコンセプトに、生成 AI を活用したサービスを組み合わせ、手描きのイメージから完成品のプロダクトイメージを生成し、さらにソーシャルメディアごとのマーケティングキャッチを生成する AWS デモアプリケーションを展示しました。

サプライチェーン

小売企業の抱えるサプライチェーンの問題は多岐にわたりますが、今回の AWS ブースの展示では「顧客体験」を中心として考え、「顧客がほしい商品を、ほしい時に、ほしい場所で手に入れられる」ことの重要性にフォーカスします。タイムリーな需要予測、在庫管理や移動管理、ラストマイル配送や BOPIS (Buy Online Pick-up In Store; E コマースなどオンラインで購入した商品を店舗で受け取ること) への対応など、考えなくてはならないことが多くありますが、サプライチェーン全体を可視性することだけでも迅速な価値実現への第一歩に繋がります。魅力的な品揃えと顧客の期待に応えるサービスを提供し、より高い収益を達成しつつ、コストを削減していくためには、AI を最大限に活用することが欠かせません。

このテーマでは、次世代サプライチェーンプランニング(AWS パートナー – o9ソリューションズ・ジャパン株式会社)、HAQM の提供する物流支援サービス(アマゾンジャパン合同会社) によるサプライチェーン課題へのソリューションの一端をご紹介しました。

AWS パートナーによる注目のデモ

各テーマにおいて AWS パートナー各社と協力し、より広範な課題に対応し、すぐに利用できる、業界ナレッジとベストプラクティスを実現したソリューションを展示します。ここではパートナー各社の展示内容の概要をご紹介します。

顧客エンゲージメント(購入前)– Tealium Japan 株式会社 「CDP と AI で実現する究極の顧客理解」

Tealium は、AI 時代に最適なデータ活用を実現するプラットフォームです。AI 活用の成功には、リアルタイムで整理された、高品質なデータが不可欠です。Tealium は、データ収集、統合からラベリング、エンリッチメントまで、AI モデルが即座に活用できるデータの状態へと最適化します。さらに、AI が生み出した予測スコアやインサイトを広告サービスやパーソナライゼーション、CRM などのあらゆるタッチポイントにリアルタイムで適用し、ビジネスの成果を最大化します。顧客同意のとれた、正確でセキュアなデータを、必要な場所に、必要なタイミングで届けることで、企業の AI 活用を加速します。

デジタルコマース – ストライプジャパン株式会社 「収益向上に繋がる決済プラットフォーム」

Stripe は、オンライン決済を簡単に導入できるプラットフォームです。スタートアップから大企業まで、世界中のあらゆる規模のビジネスと多様な決済方法に対応しており、シンプルな API で、ウェブサイトやアプリに決済機能をスムーズに組み込むことができるため、世界中で利用可能です。多通貨決済や多言語対応で、海外展開をサポートしており、かつ、高度なセキュリティ対策で、顧客情報を安全に保護します。Stripe は、オンラインビジネスの成長を強力にサポートする、信頼性の高い決済プラットフォームです。

顧客エンゲージメント(購入後)– クアルトリクス株式会社 「カスタマーエクスペリエンス(CX)」

クアルトリクスは、エクスペリエンス管理 (XM) のリーディングカンパニーとして、世界中で約 2 万社もの企業に利用されています。高度な AI と人間の感情に関する世界最大規模のデータベースを活用することで、顧客の声を収集・分析し、その結果に基づいたアクション展開をサポートしています。小売業界においては、店舗での顧客対応からオンラインショッピングに至るまで、あらゆる顧客接点を分析し、よりよい顧客体験を提供するための施策を支援するために活用されています。顧客中心の視点でリテール企業が直面する顧客ロイヤリティや店舗パフォーマンスの向上、クロスチャネル戦略の最適化など企業収益の向上に貢献します。

サプライチェーン – o9ソリューションズ・ジャパン株式会社 「次世代サプライチェーンプランニング」

o9 (オーナイン)ソリューションズは、サプライチェーンプランニングに特化したプラットフォーム「o9 デジタルブレイン」を提供しています。需要予測、在庫管理やアロケーションプランニング、IBP(統合事業計画)、S&OP(販売業務計画)などの多様なソリューションを用意しています。o9 デジタルブレインを導入したお客様は、需要予測精度の改善、品揃え計画の最適化、過剰在庫や欠品の削減、計画業務時間の大幅削減などの導入効果を得ています。サプライチェーン全体におけるキャパシティや輸送リードタイムなど様々な制約を考慮した計画を立てることができ、急な需要変化やサプライチェーン上のトラブルが起きた際の供給計画にも迅速に対応できます。

ミニシアターセッション

AWS ブースのミニシアターでは、毎日 15 分間のライトニングトークを多数開催し、AWS パートナー各社、HAQM、AWS の小売業務ソリューションのエキスパートからイノベーションのインスピレーションを得ることができました。多くのお客様が AWS ブースのミニシアターにお立ち寄りくださいました。このうち、AWS メンバーがスピーカーを担当した 4 つを、振り返りセミナーで再度、ご紹介しました。

それぞれのライトニングトークは、以下からアーカイブ動画でご覧いただけます。

  • HAQM の顧客起点データドリブンマーケティング支援の紹介 (動画
  • 即日配送を実現する HAQM のサプライチェーンの取り組みと AWS 支援の紹介 (動画
  • HAQM Rufus は何が新しい? 生成 AI で生まれ変わるチャットアシスタント (動画
  • HAQM Nova – 新しい HAQM の生成 AI モデルを 15 分で解説 (動画

資料はこちらからダウンロード可能です。

リテールテック JAPAN AWS ブースへのご来場ありがとうございました

Born from Retail, Built for Retailers – AWS は、HAQM という小売業から生まれた、小売業のためのクラウドサービスです。そして、AI/MLは、HAQM において 25 年以上前から採用され磨かれてきた技術であり、お客様が HAQM.com で目にする機能の多くは AI/ML によって実現されています。AWSは、HAQM.com によって市場テストされた後、皆さまのために提供される業界固有のサービスを継続的に開発しています。すべてのクラウドサービスプロバイダーが同じではありません。AWS は、小規模なスタートアップチームの俊敏性と、エンタープライズクラスの小売業リーダーの経験を独自に組み合わせています。この経験が、小売企業に大きな成長をもたらし、世界最大の小売企業が AWS 上でビジネスを展開している理由です。AWS ブースではご紹介してきたデモごとに、ユースケースに最適な生成 AI が選ばれて利用されていることもご覧いただきました。

リテールテック JAPAN において、私たちは AWS が描く小売業界の姿を様々なデモとともに展示しました。ご来場いただけなかった皆さまには、ぜひアーカイブ動画にて AWS ブースの「見て、触れて、体験できる “顧客体験”」をご覧ください。また、6 月 25、26 日に開催される AWS Summit Japan 2025 に向けて、リテールテックで展示したデモをバージョンアップしてまいります。次は Summit の会場でお会いしましょう!

イベント案内(閉会しました)

名称:リテールテックJAPAN 2025(第41回流通情報システム総合展)

会期:2025 年 3 月 4 日 (火) ‒ 7 日 (金) 10:00 ~ 17:00(最終日のみ16:30まで)

会場:東京ビッグサイト 東展示棟(AWS ブースは東 3 ホール、小間番号「RT3210」)

主催:日本経済新聞社

イベント公式サイト:http://www.retailtech.jp/