HAQM Web Services ブログ

週刊AWS – 2025/3/31 週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの戸塚です。今週も 週刊AWS をお届けします。

今週から4月に入り、新しい組織に異動となったり、年度が変わるタイミングで今年こそはと気持ちを引き締めて業務に取りかかっている方も多いのではないでしょうか。そんな方々におすすめな、マイグレーションとデータ基盤に関するオンサイト限定イベントが開催されます。

  • 4/15 基幹システム移行によるビジネス変革 [エントリ]
  • 4/17 経営の未来を左右するデータ基盤 – 最新技術の潮流に乗るステップ[エントリ]

オンサイトですので、新たな交流の機会としてもご活用いただければと思います。私も現地でお客様のサポートをさせていただきますので、現場でお会いできるのを楽しみにしていいます。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2025年3月31日週の主要なアップデート

  • 3/31(月)
    • AWS IoT Device SDK for Swift の開発者プレビューを発表
      AWS IoTデバイス開発者向けに、新しい Swift 言語用の SDKの開発者プレビュー版がリリースされました。この SDK を使用することで、開発者は Linux、macOS、iOS、tvOS といったプラットフォーム向けの IoT アプリケーションを構築できるようになります。特に iOS モバイルアプリケーション開発者にとって、最新の Swift 言語を使用して直感的なインターフェースでアプリケーションを開発できる利点があります。また、この SDK を通じて MQTT プロトコルを使用して AWS IoT サービスに接続することが可能です。
    • HAQM Connect Contact Lens でセンチメント分析の有効化/無効化が可能に
      HAQM Connect Contact Lens において、感情分析機能を有効/無効に切り替えられるようになりました。これは企業にとって感情分析の制御を可能にする重要な機能追加です。Contact Lens は通話内容の分析を行うサービスですが、コンプライアンス要件を満たす必要がある組織にとって、この柔軟な制御は特に有用です。この更新により、感情分析を無効にした場合でも、会話の文字起こし、生成 AI による要約、その他の会話分析機能は引き続き利用できます。具体的な使用例として、ブランドイメージの把握が必要な一般的な問い合わせ窓口では感情分析を有効にし、社内の苦情受付ラインでは感情分析を無効にするといった使い分けが可能になります。これにより、組織のニーズや規制要件に応じて、より細かな制御が可能になりました。
    • API Gateway がデュアルスタック (IPv4 および IPv6) エンドポイントのサポートを開始
      HAQM API Gateway (APIGW) が、すべてのエンドポイントタイプ、カスタムドメイン、および管理用 API において、デュアルスタック (IPv4 と IPv6 の両方) に対応したことをお知らせします。これにより、REST API、HTTP API、WebSocket API、そしてカスタムドメインにおいて、既存の IPv4 に加えて IPv6 クライアントからのアクセスを受け付けることが可能になりました。また、APIGW の管理用 API もデュアルスタッククライアントからの呼び出しに対応します。この機能により、システム全体を一度に切り替える必要なく、IPv4 から IPv6 環境への段階的な移行が可能になります。これは、IPv6 対応が必要なコンプライアンス要件を満たしたり、IPv4 アドレスの制約を回避したりする際に役立ちます。さらに、この機能の利用に追加料金は発生しません。このアップデートは、将来的な IPv6 への移行を見据えている組織にとって、スムーズな移行パスを提供する重要な機能強化となります。
    • HAQM OpenSearch Service で HAQM Q Developer が一般提供開始
      HAQM OpenSearch Service において、HAQM Q Developer が一般提供を開始しました。これは AI を活用して運用分析や調査プロセスを迅速化する機能セットです。今回のリリースでは、5つの重要な AI 支援機能が導入されました。自然言語を使用した可視化の生成、ワンステップでのデータ探索機能を備えたインテリジェントなアラート要約、Discover ページでのクエリ結果の要約、推奨される異常検知、そして OpenSearch に関する質問に対応する専用の HAQM Q Developer チャットインターフェースです。HAQM Q Developer を使用することで、チームは自然言語入力を可視化に変換し、アラートやクエリ結果から即座に洞察を得ることができ、推奨機能を通じて異常検知の作成をスムーズに行うことができます。
  • 4/1(火)
    • HAQM VPC Route Server の一般提供開始を発表
      HAQM VPC Route Server が一般提供開始となりました。この新機能は、HAQM VPC 内の仮想アプライアンス間の動的なルーティングを簡素化するものです。Route Server を使用することで、Border Gateway Protocol (BGP) を通じて仮想アプライアンスからルーティング情報をアドバタイズし、サブネットやインターネットゲートウェイに関連付けられた VPC ルートテーブルを動的に更新することができます。この機能が登場する以前は、VPC ルートテーブルを動的に更新するために、カスタムスクリプトを作成するか、オーバーレイネットワークを使用する仮想ルーターを使用する必要がありました。VPC Route Server によって、オーバーレイネットワークやカスタムスクリプトの作成・維持にかかる運用の手間が解消され、ルートテーブルの動的更新のためのマネージドソリューションが提供されるようになりました。
    • HAQM QuickSight でハイライト機能がサポートされました
      HAQM QuickSight に新機能としてハイライト機能が追加されました。この機能により、分析やダッシュボード上で特定のデータポイントを強調して追跡できるようになります。これは、シート全体でデータ要素を比較し、より効果的にインサイトを探索することを容易にします。ハイライト機能の使い方は非常に直感的で、ビジュアル内のデータポイントを選択するか、マウスをホバーするだけで、他のビジュアルの関連データが強調表示され、関連のないデータは薄暗く表示されます。このシームレスな相互作用により、ユーザーは相関関係を理解し、パターン、トレンド、異常値を素早く発見することができ、より迅速で的確な分析が可能になります。
    • AWS Backup が HAQM Redshift Serverless のサポートを開始
      AWS Backupで、HAQM Redshift Serverlessのサポートが開始されたことをお知らせします。これにより、HAQM Redshift Serverlessデータウェアハウスのデータ保護を一元的に管理することが容易になりました。AWS Backupを使用することで、HAQM Redshift Serverlessと HAQM Redshift プロビジョニングクラスターのスナップショットのバックアップと復元を自動化できるようになりました。これは、コンピューティング、ストレージ、データベースなどの他の AWS サービスと同様に管理できます。また、AWS Backup と AWS Organizations の連携により、組織全体のデータ保護を標準化し、すべてのアカウントで変更不可能なバックアップを一元的に作成・管理することが可能になりました。
  • 4/2(水)
    • HAQM SageMaker で 9 個の新しいビジュアル ETL 変換機能を追加
      HAQM SageMaker の Visual ETL に 9 つの新しい変換機能が追加されました。Visual ETL は、データの抽出・変換・読み込み (ETL) 作業をドラッグアンドドロップで簡単に実行できるインターフェースを提供するサービスです。今回追加された機能は「Derived column (派生列の作成)」「Flatten (データの平坦化)」「Add current timestamp (現在のタイムスタンプ追加)」「Explode array or map into rows (配列やマップを行に展開)」「To timestamp (タイムスタンプへの変換)」「Array to columns (配列を列に変換)」「Intersect (交差)」「Limit (制限)」「Concatenate columns (列の連結)」の 9 つです。これらの新機能により、ETL 開発者はより高度なデータパイプラインを、カスタムコードを書くことなく構築できるようになりました。
    • AWS Clean Rooms の Spark SQL が集計とリスト分析ルールをサポート
      AWS Clean Roomsの新機能として、Spark SQLで集計とリストの分析ルールをサポートしました。この機能により、プライバシーを強化しながらデータ分析が可能になります。AWS Clean Rooms Spark SQLを使用することで、お客様とパートナー企業は集計分析、リスト分析、カスタム分析のルールを活用しながら、パフォーマンス、スケール、コストの要件に基づいて設定可能なリソースでSQLクエリを実行できます。
    • HAQM Connect でスーパーバイザーが進行中のチャットに対して追加のアクションを実行可能に
      HAQM Connect のスーパーバイザー向け機能が強化され、進行中のチャットに対してより多くのアクションが HAQM Connect の UI から直接実行できるようになりました。この機能強化により、問題解決のスピードが向上し、カスタマーサービスの品質向上が期待できます。具体的には、スーパーバイザーは応答のない顧客とのチャットを終了させたり、特定のエージェントやキューにチャットを再割り当てしたりすることが可能になりました。
    • HAQM CloudWatch Application Signals SLO を使用してサービスの依存関係を監視が可能に
      HAQM CloudWatch Application Signals で、サービスの依存関係を監視するための新機能が追加されました。この機能により、サービス間の依存関係のパフォーマンスを監視し、SLO (Service Level Objectives: サービスレベル目標) を設定して問題を事前に解決できるようになりました。Application Signals を使用することで、期間ベースまたはリクエストベースの SLO を作成し、サービスから依存先へのリクエストに関する重要な指標 (レイテンシーやエラーなど) を追跡できます。これにより、依存関係のパフォーマンスとそれがサービス全体の信頼性にどのような影響を与えているかを把握できます。
  • 4/3(木)
    • HAQM Q Business ブラウザ拡張機能が全サブスクライバーに利用可能に
      HAQM Q Business のブラウザ拡張機能が、Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge で一般提供開始されたことをお知らせします。この拡張機能は HAQM Q Business を契約している全てのユーザーが利用できます。HAQM Q Business は AWS が提供する生成系 AI アシスタントですが、この拡張機能によってウェブブラウザ上で直接 AI による支援を受けることができるようになります。具体的には、ブラウザで表示しているウェブページの要約や、ページの内容に関する質問への回答、さらには企業の情報へのアクセスなどが、ページを離れることなく実行できます。
    • SES メールマネージャーが PrivateLink を介したカスタマー VPC からの着信接続をサポート
      HAQM SES (Simple Email Service) のメール管理機能「Mail Manager」において、PrivateLink を介してお客様の VPC (Virtual Private Cloud) からの接続をサポートするようになりました。2024年半ばにリリースされた Mail Manager において、VPC 接続機能は最も要望の多かった機能でした。この機能により、AWS 内で大規模なアプリケーションを運用しているお客様は、それらのアプリケーションの送受信メールを Mail Manager を通じて安全にルーティングできるようになります。
    • HAQM Neptune が 99.99% の可用性を持つ SLA (Service Level Agreement) を発表
      HAQM Neptune のサービスレベルアグリーメント (SLA) が更新され、マルチAZデータベースインスタンス、マルチAZデータベースクラスター、およびマルチAZグラフの月間稼働率が 99.90% から 99.99% に引き上げられました。これは AWS がミッションクリティカルなアプリケーションのためのグラフデータベースサービスとして、より高い可用性と信頼性を提供することへのコミットメントを示すものです。この新しい SLA では、AWS は商業的に合理的な努力を行い、HAQM Neptune のマルチAZ構成のサービスにおいて、毎月の請求サイクルで少なくとも 99.99% の月間稼働率を実現することを目指します。
    • HAQM Security Lake が IPv6 (Internet Protocol Version 6) に対応
      HAQM Security Lake が IPv6 (Internet Protocol version 6) に対応したことをお知らせします。これにより、お客様は IPv6 アドレスを使用して HAQM Security Lake の設定と管理が可能になりました。インターネットの成長に伴い IPv4 アドレスが枯渇してきている中で、この IPv6 対応は重要な意味を持ちます。HAQM Security Lake は、AWS環境やSaaSプロバイダー、オンプレミス環境、クラウドソースからのセキュリティデータを自動的に集約し、お客様のアカウント内の専用データレイクに保存するサービスです。このサービスを使用することで、組織全体のセキュリティデータをより包括的に把握でき、ワークロードやアプリケーション、データの保護を強化することができます。
  • 4/4(金)
    • HAQM SES の送信 API で添付ファイルをサポート
      HAQM SES (Simple Email Service) において、メール送信 API で添付ファイルをサポートする機能が追加されました。この機能により、SES の簡易送信 v2 API を使用する際に、PDFドキュメントなどのファイルを添付したり、メール本文中にインライン画像を埋め込んだりすることが可能になりました。これまでは、SES の簡易送信 API でテキストやHTML形式のメール本文を送信することはできましたが、添付ファイルやインライン画像を含めるためには、より複雑な API を使用してメールのデータ構造を自分で構築する必要がありました。今回のアップデートにより、ユーザーは MIME メッセージの構造について詳しい知識がなくても、PDF、Word、GIF などの SES がサポートする MIME タイプのファイルを簡単に添付できるようになりました。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Tomoya Tozuka

戸塚 智哉(Tomoya Tozuka) / @tottu22

飲食やフィットネス、ホテル業界全般のお客様をご支援しているソリューション アーキテクトで、AI/ML、IoT を得意としています。最近では AWS を活用したサステナビリティについてお客様に訴求することが多いです。
趣味は、パデルというスペイン発祥のスポーツで、休日は仲間とよく大会に出ています。