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Generative BI 機能を活用して HAQM QuickSight の分析の埋め込み体験を強化
本記事は、2025 年 4 月 1 日に公開された Enhance your analytics embedding experience with generative BI capabilities を翻訳したものです。翻訳は Solutions Architect の 守田 が担当しました。
HAQM QuickSight は、AWS の AI を搭載したビジネスインテリジェンス (BI) サービスで、お客様がより迅速にインサイトを得て、より良い意思決定を行うことを支援します。QuickSight の埋め込みを使用すると、カスタマイズされたインタラクティブなビジュアルとダッシュボードを使用して、あらゆるアプリケーションに有益な分析機能を簡単に追加でき、インフラストラクチャを管理する必要なく、低コストで数十万人のユーザーまでスケールできます。
HAQM Q in QuickSight は、ビジネスインテリジェンスに生成 AI を導入し、従業員がデータとやり取りする方法を変革します。具体的には、AI を活用したエグゼクティブサマリー、カスタマイズ可能なデータストーリー、複数のビジュアルを用いて回答するデータ Q&A エクスペリエンス、専門的なスキルを必要としない高度なデータ分析のためのシナリオ機能といった自然言語で利用可能な機能を提供します。
2024 年 4 月に HAQM Q in QuickSight の一般提供を発表し、開発者がデータ Q&A エクスペリエンスをアプリケーションにシームレスに埋め込むことが可能になりました。しかしお客様からは、他の高度な HAQM Q in Quicksight 機能についてもアプリケーションやウェブサイトに埋め込みたいというニーズをいただいていました。
本日、お客様が GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API を使用して、アプリケーションやウェブサイト内の QuickSight に HAQM Q の高度な生成 AI 機能を埋め込めるようになったことを発表できることを嬉しく思います。このローンチにより、お客様は以下のものを埋め込むことができます:
- ダッシュボード埋め込みとコンソール埋め込みにおける、 エグゼクティブサマリー (Author Pro および Reader Pro 向け)
- コンソール埋め込みにおける、データストーリー (Author Pro および Reader Pro 向け)
- コンソール埋め込みにおける、Generative BI ベースのオーサリングと QuickSight のトピック管理 (Author Pro 向け)
- コンソール埋め込みにおける、Generative Q&A エクスペリエンス
この投稿では、ユースケースの例を用いてこれらの新機能を有効にする方法をご紹介します。
ソリューションの概要
Generative BI 機能の埋め込みを有効にするには、GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API を使用する必要があります。またこれらの機能をコンソール埋め込みとダッシュボード埋め込みでユーザーに表示するには、QuickSight Embedding SDK バージョン 2.10 以降を使用する必要があります。
コンソールの埋め込み
GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API にて、コンソール埋め込み用のオプションパラメータである ExperienceConfiguration を使用して Generative BI 機能を有効にすることができます。設定が指定されない場合、これらの機能はデフォルトでは無効になっています。
これらの機能をクライアント側で有効にするには、コンソール埋め込み用の QuickSight Embedding JavaScript SDK の contentOptions
内のツールバーオプションで以下を指定します。false
に設定すると、エグゼクティブサマリー、データ Q&A、ビジュアル作成へのアクセスが非表示になります。QuickSight Embedding JavaScript SDK の関数を使用して、カスタムされた UI からフローをトリガーできます。
ダッシュボードの埋め込み
GenerateEmbedUrlForRegisteredUser API のダッシュボード埋め込み用のオプションパラメータである ExperienceConfiguration を使用することで、Author Pro または Reader Pro ロールを持つユーザーに対してエグゼクティブサマリーを有効にできます。
クライアント側でエグゼクティブサマリーを有効にするには、QuickSight Embedding JavaScript SDK のダッシュボード埋め込みにおいて、contentOptions
のツールバーオプションで以下を指定します。false
に設定すると、エグゼクティブサマリーへのアクセスは非表示になります。QuickSight Embedding JavaScript SDK の関数を使用して、カスタムされた UI からフローをトリガーすることができます。
ユースケース例
AnyCompany, Inc. は、さまざまな地域で事業を展開し、エンタープライズ、スタートアップ、中小企業 (SMB) などのあらゆる業界セグメントに顧客を持つ架空の独立系ソフトウェアベンダー (ISV) です。これらの様々な顧客の数千人のユーザーが AnyCompany のアプリケーションポータルにアクセスしており、AnyCompany は自社製品に差別化された価値を付加するため、顧客に Generative BI 機能を提供したいと考えています。以下のようなユースケースを実現したいと考えています:
- 複数のビジュアルを用いて回答するデータ Q&A の有効化
- より迅速なダッシュボードの構築
- エグゼクティブサマリーによる迅速なインサイト取得
- 説得力のあるストーリーの作成
複数のビジュアルを用いて回答するデータ Q&A の有効化
AnyCompany は、埋め込みコンソールとダッシュボードの両方でデータ Q&A を顧客に提供したいと考えています。データ Q&A は、AI が生成した質問を提案し、データのプレビューを提供することで、データの内容を素早く理解し、質問の表現方法や特定のトピックからどのような回答が得られるかを把握するのに役立ちます。回答には、関連データを示す複数のビジュアルが含まれており、データに対する信頼性と理解を深めるための追加のコンテキストを提供します。「最も優れた製品は何か」といった漠然とした質問や、単一の顧客や製品名といったシンプルな単一値のクエリでも、HAQM Q は質問に関連するデータを見つけ出し、リクエストに一致する複数のデータがある場合は代替案も提示します。
QuickSight のコンソールで、GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API の Experience Configuration パラメータで DataQnA
を有効にします。また、QuickSight Embedding JavaScript SDK 内の contentOptions
配下のツールバーオプションで dataQnA
を true
に設定します。
より迅速なダッシュボードの構築
AnyCompany は、顧客が手作業で行うポイント&クリックの一連の手順を自然言語クエリに置き換えることで、どのフィールドを選択し、どのフィルターを追加し、どの種類の可視化を選ぶかを考えることなく、目的のタスク (例えば、2023 年の月次単位の売上を可視化するなど) に集中できるようにしたいと考えています。また、顧客が複雑な計算を簡単に構築できるようにしたいと考えています。計算は、ほとんどのビジネスアナリストにとって BI スキルの習得の中で最も複雑で難しい部分であり、数ヶ月から数年の経験を必要とします。QuickSight の Generative BI を用いた計算の構築機能を使用すると、ビジネスアナリストは簡単な自然言語で望む結果を記述することで、 QuickSight の計算フィールドを構築でき、複雑な計算を数秒で作成できます。
QuickSight コンソールで、GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API の Experience Configuration パラメータで GenerativeAuthoring
を有効にします。また、QuickSight Embedding JavaScript SDK 内の contentOptions
のツールバーオプションで buildVisual
を true
に設定します。
エグゼクティブサマリーによる迅速なインサイトの取得
AnyCompany は、エグゼクティブサマリーを使用してダッシュボードから即座にインサイトを生成できるようにしたいと考えています。エグゼクティブサマリーを使用することで、データの傾向や変化を比較し、自然言語を使用してビジネスパフォーマンスを素早く理解し、さらなる調査が必要な領域を特定することができます。
QuickSight コンソール埋め込みとダッシュボード埋め込みの GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API で、Experience Configuration パラメータの ExecutiveSummary
を有効にします。また、QuickSight Embedding JavaScript SDK 内の contentOptions
のツールバーオプションで、executiveSummary
を true
に設定します。
説得力のあるストーリーの作成
AnyCompany は、顧客がシンプルな自然言語のプロンプトを使用して、共有しやすいドキュメントやプレゼンテーションを作成できるようにしたいと考えています。これにより、チームの意思決定に必要なインサイトをステークホルダーにどのように提示するかを考える時間を節約できます。顧客は、分析したい特定のビジュアルを選択し、全体的なストーリー(例えば、「主要製品と顧客に注目しながら現在の売上実績を分析し、来年の売上成長戦略を提案する」)を説明すると、HAQM Q がデータから得られた知見を説明し、ビジネス成長のための提案を含むストーリーの草案を作成します。追加のビジュアル、テキスト、画像、テーマでストーリーをカスタマイズし、HAQM Q を使用してテキストを要約または書き直すことで、共有可能な洗練されたドキュメントを作成できます。
QuickSight コンソールで、GenerateEmbedUrlForRegisteredUser または GenerateEmbedUrlForRegisteredUserWithIdentity API の Experience Configuration パラメータで DataStories
を有効にします。
まとめ
この投稿では、HAQM Q を使用して、QuickSight で利用可能になった新しいコンソールとダッシュボードの埋め込みの機能をご紹介しました。QuickSight の 30 日間の無料トライアルをぜひお試しください。
著者について
Mayank Agarwal は、AWS のクラウドネイティブでフルマネージドな BI サービスである HAQM QuickSight のプロダクトマネージャーです。埋め込み分析機能と開発者エクスペリエンスを担当しています。彼はハンドヘルドデバイスの組み込みソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートしました。QuickSight を担当する前は、Credence ID でエンジニアリングチームをリードし、AWS サービスを使用したカスタムモバイル組み込みデバイスと Web ソリューションを開発していました。これにより、政府機関、医療、取引セキュリティアプリケーション向けの生体認証の登録と識別を迅速で直感的、かつコスト効率の高いものにしました。
Jackson Dowden は、シアトルを拠点とする HAQM QuickSight のアソシエイトスペシャリストソリューションアーキテクトです。AWS のパートナーソリューションアーキテクトとしてキャリアをスタートし、現在は独立系ソフトウェアベンダー (ISV) のお客様の HAQM QuickSight のユースケース実装支援に注力しています。
Sindhu Chandra は、AWS の HAQM QuickSight のシニアプロダクトマーケティングマネージャーで、マーケティングとテクノロジーの分野で 10 年以上の経験を持っています。現職以前は、HAQM、Uber、Google などのテクノロジー企業でマーケティングポジションを担当し、クロスチャネルマーケティング戦略を主導してきました。B2B マーケティングをより親しみやすくし、インクルーシブなマーケティング施策を推進することに情熱を注いでいます。仕事以外では、愛犬と遊んだり、さまざまな産地のコーヒーを淹れたりすることを楽しんでいます。