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Salesforce Contact Center with HAQM Connect: オムニチャネルのカスタマーエンゲージメントを効率化
はじめに
Salesforce Contact Center with HAQM Connect (SCC-AC) は、HAQM Connect のデジタルチャネルおよび音声機能を Salesforce に統合した画期的なソリューションとして、現在一般提供されています。音声チャネル専用の Service Cloud Voice (SCV) を基盤として、SCC-AC は、HAQM Connect と Salesforce 間で音声チャネルとデジタルチャネルを統合することで、カスタマーエクスペリエンス、エージェントエクスペリエンス、および業務効率を向上させることを可能にします。
主な機能
Salesforce Contact Center with HAQM Connect (SCC-AC)は、HAQM Connect のチャネルと機能を Salesforce 内でネイティブに利用可能にします。SCC-AC は、マネージドパッケージとして Salesforce App Exchange で利用できます。このパッケージを Salesforce 組織にインストールするには、基盤となる Salesforce インスタンスが Salesforce Service Cloud Voice に対応している必要があります。SCC-ACの最初のリリースでは、以下の主要機能が 利用可能になりました。
新しいチャネル
SCC-AC は、HAQM Connect Chat(SMS、Web チャット、ソーシャルメッセージング)をネイティブで提供します。お客様は、HAQM Connect Chat を、セルフサービス用の HAQM Q in Connect (QiC) や会話分析用の HAQM Connect Contact Lens などの他の機能と組み合わせて使用することができます。
注:HAQM Connect Chat は現在、Service Cloud Voice Partner Telephony from HAQM Connect(別名 Service Cloud Voice Bring Your Own HAQM(BYOA))でのみ利用可能です。なお、日本では Service Cloud Voice Partner Telephony from HAQM Connect の形態でのみ Service Cloud Voice を利用可能となっています。
以下の図は、SCC-AC における HAQM Connect メッセージングチャネルのハイレベルなアーキテクチャ、データフロー、および API シーケンスを説明しています。
- お客様が Web サイトやモバイルアプリでホストされているチャットクライアント、または SMS からチャットメッセージを開始します。
- HAQM Connect のコンタクトフローが起動し、初期のガイダンスを行い、その後 HAQM Lex を使用したセルフサービスを提供します。
- チャットをエージェントに転送する前に、コンタクトフロー内で AWS Lambda 関数が呼び出されます。
- この AWS Lambda 関数は、Salesforce バックエンドにメッセージングセッションを生成するために Salesforce Interaction Service API を呼び出します。
- エージェントを特定した後、SCC-AC コネクターが受信したエージェントにチャットリクエストがルーティングされます。
- SCC-AC コネクターは、Salesforce で生成された作業項目 ID (Work item ID) を使用して Salesforce バックエンドからメッセージングセッションの情報を取得します。
- SCC-AC コネクターは、メッセージングセッションに基づいて、Salesforce バックエンドでエージェントが対応すべきタスクを作成します。
- Salesforce バックエンドは、顧客メッセージと 関連情報を含む Salesforce の画面ポップアップとともに、エージェントが対応すべきタスクをエージェントインターフェース(Salesforce Omni-Channel)にルーティングします。
エージェントがメッセージを入力して送信をクリックすると、SCC-AC コネクターは Salesforce API を通じてメッセージを受信します。 - SCC-AC コネクターは、HAQM Connect Streams API を使用して HAQM Connect にメッセージを送信します。
- HAQM Connect は、チャットクライアントにメッセージを送信します。
音声チャネルの拡張
SCC-AC は、音声チャネルを電話から in-app(アプリ内通話、ウェブ通話、ビデオ通話)に拡張し、エンドカスタマーが Web サイトやモバイルアプリケーションを離れることなく問い合わせを開始することを可能にします。企業は、Salesforce に保存されている顧客情報や、アプリ内での過去の行動履歴などの関連情報を HAQM Connect に送ることで、よりパーソナライズされた顧客体験の提供が可能になります。
統合コンタクトルーティング
SCC-AC は、HAQM Connect と Salesforce の両チャネルに対応した統合ルーティングエンジンを提供します。このようなアーキテクチャにより、ルーティング管理の簡素化、セルフサービスの統合、およびレポート機能の向上が実現できます。例えば、Salesforce で作成されたケースを HAQM Connect のルーティングエンジンを使って適切なエージェントに振り分けることができます。
以下の図は、SCC-AC におけるコンタクトの統合ルーティングのハイレベルなアーキテクチャ、データフロー、および API シーケンスを説明しています。
- Salesforce で「メール to ケース」機能等を使用してケースが作成されます。
- このケースが Salesforce フロー(SCC-AC パッケージ内で提供)をトリガーします。
- Salesforce フローは、ケース ID(その他のケース詳細)を入力属性として HAQM Connect Tasks を作成するために、HAQM Connect のコンタクトフローをトリガーします。
- HAQM Connect コンタクトフローは、ケース情報に基づき、HAQM Connect で設定されたルーティングルールに従って HAQM Connect のタスク を作成し、ルーティングします。
- SCC-AC コネクターはルーティング要求を受信し、Salesforce バックエンドでエージェントが対応すべきタスクを作成します。
- Salesforce バックエンドは、画面ポップアップとともにケースの詳細を含むエージェントのタスクを Salesforce Omni-Channel エージェントインターフェースにルーティングします。
前提条件
Salesforce Contact Center with HAQM Connect は、Salesforce AppExchange で利用可能なマネージドパッケージです。このパッケージを Salesforce 組織にインストールするには、基盤となる Salesforce インスタンスが Salesforce Service Cloud Voice および Salesforce Digital Engagement のライセンスを保持および有効化している必要があります。
アーキテクチャの選択
SCC-AC の主要な特徴の1つは、お客様がメッセージングチャネルと関連機能を HAQM Connect と Salesforce のどちらからでも選択できる点です。音声チャネル(電話、Web、モバイルアプリ)は常に HAQM Connect のネイティブ機能として提供されます。これにより、HAQM Connect 中心のアーキテクチャと Salesforce 中心のアーキテクチャという2つのリファレンスアーキテクチャが提供されます。
HAQM Connect 中心のアーキテクチャ
このアーキテクチャは、メッセージング、セルフサービス、エージェントアシスト、管理者向けサービスなどの機能を HAQM Connect のネイティブ機能として利用する場合に適しています。エージェントおよびスーパーバイザーのエクスペリエンスと顧客データは常に Salesforce のネイティブ機能となります。音声チャネル(電話、Web、モバイルアプリ)は常に HAQM Connect のネイティブ機能となります。
Salesforce 中心のアーキテクチャ
このアーキテクチャは、Salesforce が提供するメッセージングチャネル、セルフサービス、エージェントアシスト、管理者向けサービスなどの機能を活用したい場合に適しています。エージェントおよびスーパーバイザーのエクスペリエンスと顧客データは常に Salesforce のネイティブ機能となります。音声チャネル(電話、Web、モバイルアプリ)は常にHAQM Connectのネイティブ機能となります。
主なメリット
アーキテクチャの選択に基づき、お客様はコンタクトセンターの設計、アーキテクチャ、および機能マップを統合し、シンプル化することができます。
以下の図は、SCC-AC の一般提供開始によって得られるいくつかのメリットを示しています。
- ユニファイドセルフサービスレイヤー – HAQM Connect 中心のアーキテクチャ(つまり、すべてのチャネルが HAQM Connect ネイティブ)では、HAQM Q in Connect がチャネル全体で生成 AI を活用した単一のセルフサービスレイヤーとなります。これにより、統一されたセルフサービスのカスタマーエクスペリエンスを実現できます。
- ユニファイド会話分析レイヤー – HAQM Connect 中心のアーキテクチャでは、Contact Lens がチャネル全体で単一の会話分析レイヤーとなり、以下のような様々な会話分析機能を提供します:
- 文字起こし:顧客とエージェント間の会話をリアルタイムで文字起こしし、様々なユースケースで活用できます。
- カテゴリー分類:コンタクトセンター管理者は、発言された単語/フレーズ、センチメント、コンタクト属性に基づいて Contact Lens ルールを設定できます。Contact Lens はこれらのルールをリアルタイムの会話に適用し、Salesforce でのエージェントアシスト用の次善のアクション(Next Best Action)などのアクションをトリガーします。
- ユニファイドルーティングエンジン – SCC-AC は、Salesforce のケースなどのオブジェクトを HAQM Connect のルーティングを通じて処理する仕組みを提供します。これにより、ルーティング設定の統合と簡素化、およびレポート機能の向上を実現できます。
- Salesforce ネイティブのエクスペリエンス – Salesforce と HAQM Connect のチャネル全体で、エージェントとスーパーバイザーのエクスペリエンスは Salesforce ネイティブとなります。これにより、エージェントとスーパーバイザーのトレーニングと学習時間が短縮され、また複数のコンソールを切り替える必要なく、Salesforce コンソールから業務を行うことが可能になります。
結論
Salesforce Contact Center with HAQM Connect (SCC-AC) は、HAQM Connect ネイティブのデジタルチャネルをシームレスに Salesforce に統合します。これにより、組織はコンタクトセンター業務を効率化しながら、統一された顧客およびエージェントエクスペリエンスを実現することができます。
参考リンク
· SCC-AC admin guide
· SCC-AC AppExchange package
著者について
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Chintan Gandhi – イギリス・ロンドンを拠点とする HAQM Connect と Salesforce 統合のスペシャリストソリューションアーキテクトです。大手顧客や戦略的パートナーの新技術導入とスケーリングを支援する傍ら、家族との時間を過ごしたり、チェス、クリケットを楽しんだり、読書をすることを趣味としています。 |
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Steve Earl – ノースカロライナ州を拠点とする HAQM Connect と Salesforce 統合のスペシャリストソリューションアーキテクトです。顧客、パートナー、社内チームのカスタマーエクスペリエンス向上を支援する以外の時間は、人間と犬を含む家族との時間を過ごしたり、山小屋の手入れをしたり、読書やゴルフを楽しんでいます。 |
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Marc Rudkowski – ノースカロライナ州ローリーを拠点とする HAQM Connect パートナーソリューションのプリンシパルプロダクトマネージャーです。2017年のサービス開始以来、大手エンタープライズ顧客やパートナーとともに、HAQM Connect によるカスタマーエクスペリエンス(CX)の実現を支援してきました。仕事以外では、熱心なサイクリストであり、家族との大切な時間を楽しんでいます。 |
この記事は Chintan Gandhi、 Steve Earl、 Marc Rudkowski によって書かれた Salesforce Contact Center with HAQM Connect: Streamlining omnichannel customer engagement の日本語訳です。この記事はソリューションアーキテクトの梅田裕義が翻訳しました。