HAQM Web Services ブログ
週刊生成AI with AWS – 2025/4/14週
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。4月16日にAWS ジャパンでは生成 AI 実用化推進プログラムを発表させていただきました。“ジャパンでは“と記載しているのは、日本独自のプログラムだからです。2023年の大規模言語モデル(LLM)開発支援プログラムを発展させ、2024年7月に本格始動したこのプログラムでは、すでに150社以上の組織が参加し、実践的な生成AI活用を支援しています。単なる技術支援にとどまらず、定期的な勉強会の開催や事例共有を通じて、業界横断的な開発者コミュニティを形成している点がユニークだと思います。そして2025年度は参加者のニーズに応じた3つのコース(戦略プランニング、モデルカスタマイズ、モデル活用)を設定し、より実践的なサポート体制を整えました。興味のある方はこちらの「AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム」や「AWS(アマゾン ウェブ サービス)が生成AI実用化を支援するプログラムの成果を発表。新年度の受付も開始」を参照ください。
では今週も生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。
さまざまなニュース
- ブログ記事「AWS が HAQM Bedrock サーバーレスにおける Pixtral Large 25.02 モデルを発表」を公開
Mistral AI の最新マルチモーダルモデル「Pixtral Large 25.02」を HAQM Bedrock でサーバーレスとして提供開始しました。このモデルは、128Kのコンテキストウィンドウを持ち、画像理解と言語処理を組み合わせた高度な機能を提供します。80以上のプログラミング言語と10か国語以上の多言語をサポートしており、グローバルな利用に対応します。クロスリージョン推論により、低レイテンシーと高可用性を実現し、使用量に応じた料金体系で提供されます。 - ブログ記事「HAQM Bedrock のガードレールが、新しい機能により、生成 AI アプリケーションの安全性を強化」を公開
HAQM Bedrock のガードレールに、生成AIアプリケーションの安全性を高める新機能が追加されました。主な強化点として、最大88%の精度でマルチモーダルコンテンツの有害性を検出する機能、個人情報(PII)の保護強化、IAMポリシーによる必須ガードレールの強制適用などが実装されました。また、入出力に対する選択的なポリシー適用や、デプロイ前のポリシー分析機能も追加され、より柔軟で効果的な安全管理が可能になりました。 - ブログ記事「“それ AI エージェントがやります” : AWS Summit Japan 2025 で AI エージェントのハッカソンを開催する背景」を公開
AWS Summit Japan 2025(6/25-26開催)で予定されているハッカソンイベントの案内ブログです。昨年のAWS AI Dayハッカソンで大きな反響があったことを受け、今回はQuizKnockをナビゲーターに迎え、より充実した内容で実施されます。このハッカソンの特徴は、AIエージェントを十分に活用することで、人々が本当に実現したい目的を明確にし、持続的な価値を生み出すことを目指している点です。参加者向けに事前トレーニングやワークショップも用意され、プログラミング初心者でも気軽に参加できる環境が整っています。応募締切は5月13日で、5月1日にはQuizKnockによるオンラインワークショップも予定されています。興味のある方は、ぜひ参加をご検討ください。 - ブログ記事「HAQM Bedrock Agents で MCP サーバーを活用する」を公開
HAQM Bedrock Agents が Model Context Protocol (MCP) に対応し、AI エージェントの機能が大幅に向上しました。MCPは、AIモデルを様々なデータソースやツールに標準化された方法で接続できるプロトコルです。これにより、従来は個別の開発とメンテナンスが必要だった外部システムとの連携が、より効率的に実現できるようになりました。ブログでは、AWS Cost ExplorerとPerplexity AIを組み合わせたコスト分析エージェントの実装例を紹介しています。このエージェントは、ユーザーからの自然な質問に対して、AWS の利用料金データを分析し、分かりやすい形式でインサイトを提供します。MCPの導入により、開発者は標準化されたインターフェースを通じて様々なシステムと連携できるようになり、AIエージェントの開発効率が大幅に向上します。これは、カスタマーサービスの改善や業務効率化など、幅広いビジネス課題の解決に活用できます。 - ブログ記事「生成 AI で生成 AI アプリケーションを生成しよう!」を公開
HAQM Q Developer CLIを使用することで、WebアプリケーションやUI開発の経験が少ない方でも、生成AIアプリケーションの機能拡張が可能になりました。ブログでは、Generative AI Use Cases (GenU)のチャット機能に、会話履歴を基にした質問候補を提示する機能を追加する実例を紹介しています。開発者はHAQM Q Developer CLIと対話的にやり取りすることで、gitの基本操作とブラウザのデベロッパーツールの確認程度の知識があれば、約1時間程度で新機能を実装できました。エラーが発生した場合も、エラー内容をAIに伝えることで適切な修正が可能です。この方法により、従来は専門のWeb開発者に依頼する必要があった機能開発を、自身で開発できるようになります。ソフトウェア開発の民主化に向けた大きな一歩となるのではないでしょうか。 - ブログ記事「マルチアカウント環境で HAQM Bedrock クロスリージョン推論を有効化する」を公開
HAQM Bedrockのクロスリージョン推論機能について、マルチアカウント環境での有効化方法を解説しています。この機能により、複数のAWSリージョン間で基盤モデルにアクセスできるようになり、パフォーマンスと可用性が向上します。ただし、組織のセキュリティ要件でリージョンアクセスが制限されている場合、意図せずこの機能がブロックされることがあります。ブログでは、AWS Organizations のサービスコントロールポリシー(SCP)やAWS Control Towerの設定を適切に変更することで、セキュリティ要件を維持しながらクロスリージョン推論を有効化する具体的な手順を説明しています。 - ブログ記事「【開催報告&資料公開】Coding Agent at Loft #1 ~ Cline with HAQM Bedrock で 爆速開発体験ハンズオン ~」を公開
AWS Startup Loft Tokyoで開催された本イベントでは、オープンソースのAIコーディングアシスタント「Cline」とHAQM Bedrockを組み合わせた開発手法について、座学とハンズオンが実施されました。イベント時にちょうどBedrockが新たにプロンプトキャッシュとコード生成に対応したタイミングでの開催であり、実際の活用事例として株式会社ブリューアスによる社内ハッカソンの事例やノバセル株式会社による生産性改革の取り組みが紹介されました。参加者からは「AIコーディングエージェントの具体的な活用イメージが掴めた」という声が上がり、開発効率向上の可能性を実感できる機会となりました。
サービスアップデート
- Well-Architected Generative AI レンズ の発表
AWS Well-Architected Toolのレンズに新たにGenerative AI レンズ が追加されました。このレンズは、クラウド環境やAIツールに依存しない汎用的なガイダンスを提供し、初期の影響評価からモデル選択、カスタマイズ、統合、デプロイメント、継続的な改善まで、生成AIのライフサイクル全体をカバーしています。生成AIを利用した環境やアプリケーションの評価基準として汎用的に利用可能ですのでAWS Well-Architected Toolで確認してみてください。(英語での提供となります) - HAQM Bedrock の RAG とモデル評価機能にカスタムメトリクスが追加
HAQM Bedrock Evaluationsが、基盤モデルとRAGの評価機能を拡張し、カスタムメトリクスの作成と再利用が可能になりました。従来から提供している人間による評価、BERTScoreやF1などのプログラムによる評価、LLMを評価者として使用する機能に加え、新たにユーザー独自の評価基準を定義できるようになりました。例えば、企業独自のブランドボイスへの適合性評価や、カスタムのカテゴリー別評価基準による回答の評価などが可能です。 - GitLab Duo with HAQM Q が一般提供開始
GitLab Self-Managed Ultimateのユーザー向けに、HAQM Qを活用した高度なAI支援機能が利用可能になりました。開発者は日常的な作業の多くを自動化できます。例えば、新機能の実装では、課題からコード生成、テスト作成、レビューまでをAIがサポートし、開発者の作業負荷を軽減します。また、パイプラインの障害対応やセキュリティ問題の解決もAIが支援するため、問題解決までの時間を短縮できます。特に、Java 8や11から17へのアップグレードなども効率的に実施できるようになりました。 - HAQM Q Developer が 欧州(フランクフルト)リージョンで一般提供開始
HAQM Q Developer が 欧州(フランクフルト)リージョンで一般提供が開始されました。欧州リージョン内でのデータ保存や推論処理が可能となります。 - HAQM Q Business がチャット応答におけるハルシネーションの軽減機能をリリース
HAQM Q Business に、生成AIの回答の信頼性を高める機能が追加されました。この機能は、生成AI が実際のデータに基づかない誤った回答(ハルシネーション)をする問題に対処します。チャット中にリアルタイムでハルシネーションを検出し、より正確な回答に自動修正する機能を提供します。接続されたデータソースやチャット中にアップロードされたファイルを基に、RAGの精度を向上させ、より信頼性の高い応答を実現します。
今週は以上でした。それでは、また来週お会いしましょう!