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AWS ネイティブサービスと Nutanix Cloud Clusters on AWS でイノベーションを推進
本稿は、AWS で Sr. Solutions Architect を務める Kiran Reid、Elvis Pappachen および Nutanix, Inc. で Advisory Solutions Architect, Hybrid Multicloud を務める Jonas Werner 氏が 2024 年 10 月 8 日に公開した「Drive Innovation with AWS native services and Nutanix Clouds Clusters running on AWS」を翻訳したものです。
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組織は、クラウド移行に着手するにあたり、AWS が提供する 200 を超えるクラウドネイティブサービスを活用してイノベーションの推進、俊敏性の向上、コストの最適化を図ろうとしています。ただし、これらのサービスを利用するために既存のワークロードを移行およびリファクタリングすることは、複雑で時間がかかる場合があります。Nutanix Cloud Clusters (NC2) on AWS はこのギャップを埋め、組織がアプリケーションをリファクタリングすることなく、オンプレミスのワークロードを AWS にシームレスに拡張して移行できるようにします。
NC2 on AWS を活用することで、お客様は既存のワークロードを AWS ネイティブサービスと簡単に統合できます。アプリケーションのパフォーマンスと拡張性の向上から、高度な分析や機械学習機能の活用まで幅広く対応します。AWS ネイティブサービスとの統合により、組織は重要なビジネス運用を中断することなく、自分たちのペースで IT インフラストラクチャをモダイナイゼーションできます。
NC2 on AWS で実行されるワークロードは AWS ネイティブサービスと統合でき、堅牢で柔軟なハイブリッドクラウド環境を提供します。
このブログでは、いくつかの統合例を紹介しますが、AWS が事前定義済みの統合を提供している例は他にもたくさんあります。
AWS ネットワーキングと Nutanix Cloud Clusters (NC2)
NC2 on AWS は、お客様の HAQM Virtual Private Cloud (HAQM VPC) にデプロイされ、AWS ネイティブのネットワーク機能を使用します。この統合により、複雑なネットワーク設定が不要になり、セキュリティグループ、ネットワーク ACL、VPN、Direct Connect 接続などの AWS ネットワークサービスを活用できるようになります。
図 1 は、NC2 上で稼働するお客様の仮想マシン (VM) が AWS ネイティブサブネットを利用することも、代わりに Nutanix Flow Virtual Networking のオーバーレイネットワークを使用することもできることを示しています。EC2 ホストは 1 つのプライベートサブネットにありますが、Flow を有効にすると、合計 4 つの AWS サブネットが使用されることに注意してください。
図 1 — AWS での NC2 ネットワーク接続
Flow Virtual Networking のオーバーレイネットワークにより、組織は AWS ネイティブの HAQM VPC とは独立した CIDR 範囲を持つ追加のネットワークを作成できます。これらのオーバーレイネットワークは、NAT または No-NAT ネットワーキングのいずれかを使用することができます。
Flow Virtual Networking のオーバーレイネットワークは、HAQM VPC のデフォルトルートテーブルに追加されます。これにより、ネイティブワークロードは、あたかもネイティブ HAQM VPC の CIDR 範囲であるかのように、オーバーレイネットワーク上の VM にアクセスできるようになります。
NC2 で実行される Web ワークロード
図 2 のような Web アプリケーションを NC2 で実行でき、HAQM Route 53 によってホストおよび処理される DNS の恩恵を受けることができます。さらに、AWS WAF を使用してセキュリティを強化したり、Elastic Load Balancers (ELB) を使用して仮想マシン間で Web リクエストの負荷分散を行ったりすることも可能です。
図 2 — AWS サービスを使用してインターネットからアクセス可能な Web アプリケーション
NAT ネットワークの背後にある NC2 ワークロードには、クライアントのルーティングを容易にするために AWS ネイティブの VPC CIDR 範囲からフローティング IP アドレスを割り当てることができます。フローティング IP アドレスの割り当ては少数のワークロードに適していますが、より多くの VM を NC2 の外部から利用可能にする必要がある場合は、No-NAT ネットワークが推奨されます。
No-NAT では、Flow Virtual Networking のオーバーレイネットワークが HAQM VPC のデフォルトルートテーブルに追加されます。これにより、ネイティブワークロードは、あたかもネイティブの HAQM VPC の CIDR 範囲であるかのように、オーバーレイネットワーク上の VM にアクセスすることが可能になります。No-NAT ネットワーキングは、NC2 上の VM が NC2 クラスター外からアクセス可能であるべきサービスを実行するために使用される場合に利用できます。
NC2 on AWS のデータ保護
Nutanix Multi Cloud Snapshot Technology (MST) 機能を使用して、NC2 クラスターからスナップショットを HAQM Simple Storage Service (HAQM S3) を宛先ストレージとしてコピーすることができます。これにより、障害が発生した場合でも VM が安全に保存され、簡単に復元できることが保証されます。さらに、MST 機能を使用してオンプレミスの Nutanix デプロイメントからスナップショットを S3 ストレージに転送することもでき、復旧のためのシンプルで低コストなオプションを提供します。
お客様の中には、Nutanix ネイティブのデータ保護オプションに加えて、または代わりに、既存のサードパーティバックアップ製品を使用したいと考えるお客様もいるかもしれません。この場合、Veeam、HYCU、Rubrik、Commvault、Veritas、Cohesity など、多くのバックアップベンダーが NC2 でサポートされており、さらに多くの検証が進行中です。これらのバックアップベンダーは Nutanix ストレージレイヤーと直接統合することができ、設定されたオプションによっては、スループットの向上とより効率的なバックアップが可能になります。
NC2 とのストレージ統合
アプリケーションがパフォーマンスを損なうことなく必要なストレージリソースにアクセスできるようにするために、HAQM Elastic Block Store (HAQM EBS) を使用できます。HAQM EBS ボリュームは、クラスターのデプロイ時に各 NC2 サーバーノードに含めることができます。EBS ボリュームは現在、I3、I3en および I4i ベアメタルノードタイプでサポートされています。
ファイルストレージへのアクセスを必要とするワークロードやアプリケーションには、 HAQM FSx と HAQM Elastic File System (HAQM EFS) を使用できます。これは、AWS パブリックエンドポイントまたはプライベートエンドポイントを通じて NC2 の User VM に提供されます。図 3 では、NC2 の VM からプライベートエンドポイントに直接 FSx と EFS の両方のファイルストレージにアクセスしています。
図 3 — HAQM ファイルストレージサービスにアクセスする NC2 VM
システム管理
レガシーワークロードであっても、AWS Systems Manager を使用することでパッチ適用とフリート管理ツールの恩恵を受けることができます。組織は AWS Systems Manager Patch Manager を活用してオペレーティングシステム (OS) のアップデートを最新に保つためのベストプラクティスを導入できます。NC2 on AWS で実行されている VM と HAQM Elastic Compute Cloud (HAQM EC2) インスタンスは、AWS Systems Manager Fleet Manager を使用して包括的に管理できます。インベントリデータを収集し、HAQM S3 に保存して、HAQM Athena で検索可能な形式に変換することができます。そのインベントリデータは HAQM QuickSight で視覚化することも可能です。
NC2 on AWS で実行されている VM を AWS Systems Manager で管理するには、VM に AWS Systems Manager Agent (SSM Agent) をインストールする必要があります。エージェントが実行されると、VM はハイブリッドアクティベーションを通じて AWS Systems Manager に追加でき、その後 VM は SSM Fleet Manager にマネージドインスタンスとして表示されるようになります。
結論
このブログでは、Nutanix Cloud Clusters (NC2) と AWS ネイティブサービスを活用することで、組織がシームレスなハイブリッドクラウド運用、リソース利用の最適化、スケーラビリティの強化、事業継続性の向上を実現する方法について説明しました。統一された管理エクスペリエンスと堅牢な災害復旧機能により、企業は AWS クラウドへワークロードを拡張し、柔軟性、コスト効率、そして全体的な運用の回復力を最大化することができます。また、NC2 on AWS は AWS Marketplace を通じても入手可能です。
その他のリソース
- Nutanix Cloud Clusters on AWS(英語)
- Nutanix Cloud Clusters (NC2) on AWS 向けネイティブ バックアップが登場(英語)
- Nutanix Cloud Clusters on AWS でハイブリットクラウドの導入・運用をシンプルに
- 適切なサイジングのヒント — 適切なサイジング:インスタンスのプロビジョニング(英語)
- HAQM ElastiCache for Redis クラスターのサイジングに関するベストプラクティス(英語)
- AWS CloudHSM のベストプラクティス
Nutanix – AWS Partner Spotlight
Nutanix は、AWS パートナーとして、ボリューム、オブジェクト、ファイル、および Nutanix データベースサービス(NDB)を含むステートフルアプリケーションのニーズに対応するエンタープライズグレードのデータサービスを備えたハイパーコンバージドインフラストラクチャソフトウェアを提供しています。
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翻訳はパートナーソリューションアーキテクト 豊田が担当しました。原文はこちらです。