AWS Startup ブログ
「AI Agent」を 1 日で開発! 基礎から実装まで作って学ぶ、1 日集中講座【HAQM Bedrock Prototyping Camp #8】
AWS Startup Loft Tokyo(目黒)にて、2025 年 5 月 22 日、「HAQM Bedrock Prototyping Camp #8」を開催しました。本イベントは、HAQM Bedrock を活用した AI Agent 開発に特化した 1 日集中講座として、スタートアップの皆様にご参加いただきました。
2023 年から続く「HAQM Bedrock Prototyping Camp」シリーズは、たった 1 日で HAQM Bedrock の検証から本番デプロイまでを目指す実践的なイベントです。第 1 回から第 7 回までに、のべ 280 社から 462 人の方々にご参加いただき、多くのスタートアップの皆様に HAQM Bedrock の活用方法をお伝えしてきました。
2025 年は「AI Agent 元年」とも言われ、生成 AI の活用が単なるチャットボットから、より高度な自律的なタスク実行へと進化しています。第 8 回となる今回は、AI Agent を基礎から体系的に理解し、ハンズオンを通して Agent 開発の実践スキルを身につけ、プロトタイピングの時間に実運用可能な Agent を完成させることを目指しました。
座学「AI Agent の概要と AWS 上で実現する AI Agents」
イベントは、AWS Startup Solutions Architect の冨山英佑による座学セッションからスタートしました。本セッションでは、AI Agent の仕組みや実装方法について基礎から解説し、AWS 上でどのように AI Agents を実装できるかを具体的に紹介しました。
まず、Agent の基礎概念として、その背景にある「Reasoning(推論)」の重要性について触れました。次に、Agentic System における「Agent」と「Workflow」の違いを明確にし、Agent がどのように自律的に動作するのか、具体的な動作イメージを交えて説明しました。
さらに実装の観点から、開発者が実際に取り組むべきスコープを明確化しました。「どこまでを開発者が実装し、どこから AWS のマネージドサービスに任せるべきか」という実践的な線引きを示し、HAQM Bedrock Agents や AWS Lambda などのサービスを活用することで、複雑な Agent 開発をいかに簡素化できるかを解説しました。
HAQM Bedrock Agents を用いた AI Agent 開発ハンズオン
座学で理論を学んだ後は、実際に手を動かすハンズオンセッションに移りました。参加者の皆様には、HAQM Bedrock Agents を使用した実践的な Agent 作成に取り組んでいただきました。
ハンズオンでは、HAQM Bedrock Agent に AWS Lambda で定義したカスタムツールを組み込み、HAQM DynamoDB のレコードを操作する Agent を構築しました。参加者は各自が持参した自社の AWS アカウント上で開発を進め、実際の開発環境に近い形で学習を進めることができました。
作成した Agent に対して様々な指示を与え、Agent がツールを呼び出す様子をトレースログで確認することで、「Agent がどのように判断し、どのようにツールを選択・実行するのか」という動作原理を体感的に理解していただきました。
時間に余裕のある参加者には、オプショナルタスクとして、Streamlit フレームワークと HAQM EC2 を組み合わせた Agent チャットアプリケーションの構築にも挑戦していただきました。これにより、バックエンドの Agent 開発だけでなく、エンドユーザー向けのインターフェース実装まで含めた、エンドツーエンドの開発体験を提供しました。
Prototyping タイム
本イベントの最大の特徴である Prototyping タイムでは、約 4 時間強にわたり、参加者が各自で自身・自社の課題解決に向けた Agent の開発に取り組みました。この時間は完全に自由な開発時間として設定し、AWS のソリューションアーキテクトが常時サポートに入り、技術的な疑問や実装上の課題について個別にアドバイスを提供しました。
実際に参加者の皆様が取り組んだ内容の一例をご紹介します:
インフラのコード化への取り組み
ハンズオンで作成した Agent をベースに、独自のビジネスロジックを実装したツールを追加開発された参加者がいらっしゃいました。さらに、今後の本番環境へのデプロイを見据えて、Terraform による Infrastructure as Code 化にも着手され、再現性の高い環境構築を実現されました。
マルチエージェントシステムの構築
HAQM Bedrock Agents の「Multi-Agent Collaboration」機能を活用し、複数の Agent が協調して動作するシステムを構築された参加者もいらっしゃいました。具体的には、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を使用して社内ナレッジベースを検索する Agent と、社内データベースを操作するAgent を組み合わせ、より複雑なタスクを自動化するマルチエージェントシステムを実装されました。
このように、参加者の皆様は単なるサンプル実装にとどまらず、実際のビジネス課題解決に向けた実践的なプロトタイプ開発に取り組まれました。
おわりに
本イベントでは、AI Agent を基礎から体系的に理解し、ハンズオンを通して Agent 開発の実践スキルを習得し、さらにプロトタイピングタイムでは各参加者が自身のビジネス課題に即した Agent 開発に取り組んでいただきました。
参加者の皆様からは、以下のような嬉しいフィードバックをいただきました:
「AI エージェント構築の概要が知りたかったので、最初に講義があり、準備されたハンズオンをやり、その後に自分で作るという流れがわかりやすかったです。自分で作る際に湧いた疑問を聞けるので、リアルに自社で使う際のイメージで質問できて良かったです。」
「講義とてもわかりやすいのと、サポートの方にも色々聞けたのでとても有意義でした。ありがとうございます」
「実際にプロトタイピングする時間を多く確保していただいたことが深い理解と次へのアクションの具体化ができたので、とてもよかったです。」
「実際に手を動かして、AI エージェントの骨子となる基礎を組み上げることができて非常に良いイベントでした。また、AWS に普段触る機会がなかったため、初歩的なエラーで悩みましたがその場で解決できるように社員さんがいたのもとてもありがたかったです。後半で、それぞれの会社ごとの AI エージェントを組む時間では、まだ構成すらできていない部分でたくさんのアイデアをいただけたので非常に有意義でした。次回の開催も希望します。」
AWS では、スタートアップの皆様の AI 活用を支援するため、「HAQM Bedrock Prototyping Camp」をはじめとする様々なワークショップを今後も継続的に開催してまいります。