当社が検討した画像の自動タグ付けサービスの中で、HAQM Rekognition が最も簡単に導入でき、すぐに価値を得られるものでした
Nik Khilnani 氏 National Geographic Partners、プラットフォーム開発担当シニアディレクター
  • National Geographic Partners について

    National Geographic Partners (NGP) は、National Geographic と 21st Century Fox の合弁会社で、メディアアセットの巨大なポートフォリオで、科学、冒険、探検の優れたコンテンツを提供しています。NGP は、収益の 27% を非営利団体の National Geographic Society に還元しています。

  • AWS の利点

    • 130 年分のマルチチャネルコンテンツへのアクセスをパーソナライズ
    • 何十万もの画像のタグ付けに必要なコストと時間を回避
    • 厳しい締め切りに対応
    • 俊敏性を向上し、イノベーションを促進
  • 使用する AWS のサービス

National Geographic では、130 年にわたり、地球上で最も遠い場所や宇宙へのすばらしい探検の旅に世界中の利用者を連れて行っています。現在、National Geographic Partners (NGP) は、世界規模のテレビチャンネル、37 の言語で提供される雑誌、どのブランドでも最大規模の利用者数を誇るソーシャルメディアで、毎月数百万人の利用者に情報を発信しています。フォロワー数は 4 億 2,000 万人にのぼります。NGP は非営利団体の National Geographic Society (NGS) と 21st Century Fox の合弁会社で、人々が世界を理解し、世界における自分の役割を十分に理解できるようにすることを使命としています。

「National Geographic は、飽くなき好奇心を持ち、枠にとらわれない人々のコミュニティの中心に位置します」と NGP のプラットフォーム開発担当シニアディレクターである Nik Khilnani 氏は言います。「私たちは、大きな未知の事象を追いかけ、一般に受け入れられている考えに疑問を呈し、限界を押し広げています。私たちの住む世界に関する知識と理解をさらに深めることは、これまでも、そしてこれからも National Geographic の中核となる目的であり続けます」と同氏は話します。

NGP では、この使命をより適切にサポートするために、既存のすべてのアプリケーションと IT 運用をオンプレミスのデータセンターからクラウドに移行する準備を整えました。また、同社では、新しいアプリケーションにはクラウドファーストポリシーを採用しており、同社のマルチチャネル、マルチフォーマットのコンテンツにより適した新しいアプローチを取り入れながら、従来のコンテンツ管理システム (CMS) について再考する予定です。

「AWS は、当社の今後の技術戦略の要です。AWS に移行することで、イノベーションや新しいアイデアの企画に集中できます」と Khilnani 氏は述べています。

同社が詳しく検討したいと考えていた新しいアイデアの 1 つが、1 つのポータルから同社のマルチメディアコンテンツカタログにアクセスできるようにすることでした。このカタログには、NGS が創設され、National Geographic 誌が創刊された年である 1888 年までのコンテンツが含まれています。

「当社には 130 年分の貴重なコンテンツがあり、それは今日でも価値があり、役立つものです。ただし、そのコンテンツにアクセスでき、見つけることができればの話ですが」と Khilnani 氏は話します。「当社は、AWS をどのように利用すれば、お客様がカタログ全体にアクセスできるようになるかと自問しました」と同氏は言います。

そこには 2 つの大きな障害がありました。まず、複数の大陸にある CMS に膨大な量のデータがさまざまなフォーマットで保存されていました。次に、NGP ブランドの代名詞ともいえるコンテンツのカテゴリ、つまり画像に課題がありました。画像は主に写真ですが、地図や図表も含まれていました。

「思い描いていたとおりに画像を抽出するために必要なメタデータが十分ではありませんでした。手作業によるタグ付けプロジェクトを検討しましたが、時間とコストがかかるだけでなく、新しいツールやオーサリングワークフローを作成する必要がありました」と Khilnani 氏は話します。

NGP はアマゾン ウェブ サービス (AWS) のサーバーレスコンピューティング技術を使用して、これらの課題を克服し、同社の最初のマルチメディア、クロスチャネル、モバイルネイティブアプリケーションである National Geographic App を構築しました。

iOS と Android 向けのアプリケーションで、現在は、オーストラリアの通信会社である Optus のお客様しか利用できませんが、ユーザーは、数千枚の写真、雑誌とウェブの記事、短編動画、長編動画、Instagram のフィード、アプリケーション専用の動画コンテンツなど、雑誌の創刊号までさかのぼって National Geographic のコンテンツを検索できるようになりました。アプリケーションでは、ユーザーがアクセスするたびにユーザーの興味と使用履歴に基づいて新しい魅力的なコンテンツを表示します。また、きめ細かい通知設定も用意されているため、ユーザーは通知を受け取るタイミングやデバイスを指定できます。

アプリケーションでは、このすべてを実現するために、AWS の複数の技術を使用しています。アップストリームの Node.js 集約アプリケーションで受信データを正規化し、アプリケーションの HAQM CloudSearch インデックスとの互換性を確保した後で、取り込まれたファイルは HAQM Simple Storage Service (HAQM S3) にオブジェクトとして保存されます。AWS Lambda は、イベントによってトリガーされたコードを実行するサーバーレスコンピューティングサービスで、HAQM DynamoDB のインデックスエントリを更新することで HAQM S3 のオブジェクト作成に応答します。HAQM DynamoDB はどのような規模でも 10 ミリ秒未満の応答性を実現できるサーバーレスの非リレーショナルデータベースです。

新しいファイルが画像である場合、別の AWS Lambda 関数によって必要に応じてサイズ変更とクロッピングが指示されます。National Geographic では画像のメタデータが不十分であるという問題を解決するために、深層学習コンピュータビジョンサービスである HAQM Rekognition を使用しています。プラットフォームの画像処理のもう 1 つのステップとして、AWS Lambda 関数によって HAQM Rekognition を呼び出し、HAQM S3 で検出された新しい画像と動画で確認できるオブジェクト、イベント、コンセプトを識別し、ラベル付けします。

「当社が検討した画像の自動タグ付けサービスの中で、HAQM Rekognition が最も簡単に導入でき、すぐに価値を得られるものでした。HAQM Rekognition を使用することで、アプリケーションでは、画像に適切なメタデータを抽出し、適用できるため、真に "スマートな" 自動クロッピングプロセスを実現できます。例えば、HAQM Rekognition では、写真のみをクロッピングし、地図や図表はそのままの状態で維持し、情報が失われないようにすることができます」と Khilnani 氏は話します。

アプリケーションでは、高度にパーソナライズされた体験を提供するために、ユーザーのアクティビティデータとお気に入りのコンテンツのリストを HAQM DynamoDB に保存し、AWS Lambda 関数でそのデータを使用して個別のユーザープロファイルと、アプリケーションでユーザーに表示するコンテンツを供給するカスタムの HAQM CloudSearch フィードを作成しています。ユーザー通知は HAQM Simple Notification Service (HAQM SNS) を使用して配信されます。「HAQM SNS は簡単に統合できて、非常によく機能するため、当社は通知サービスを自分たちで構築する必要がなくなり、機能の開発に集中できるようになりました」と Khilnani 氏は語ります。

AWS のサーバーレスコンピューティングを使用して National Geographic App を構築するという選択肢は、プロジェクトの成功に不可欠でした。「AWS のサーバーレスコンピューティングを使用することで、開発期間を数か月短縮でき、機能をすばやく追加することができました。もし使用していなければ、このような機能を追加することはできなかったでしょう。例えば、HAQM Rekognition を使用せずに、ユーザーエクスペリエンスの重要な要素である、ユーザーの好みに基づいて画像を提供することは困難でした」と Khilnani 氏は述べています。

NGP が同社の AWS 中心の技術戦略によって享受している利点は、サーバーレスアプローチを使用して NGP が実現した成功だけではありません。

「AWS で提供されている幅広いサービスにより、一気にサーバーレスに進んで俊敏性とスピードを最大限に高めるという選択肢を得ることができました。サーバーレスコンピューティングは、ビジネスニーズやお客様の需要の絶え間ない変化に応じて当社がイノベーションを実現できるように AWS が提供する方法の 1 つにすぎません。AWS が提供する使いやすい技術により、かつてないスピードでさらに優れた実験、学習、イノベーションを行うことに集中できます」と Khilnani 氏は言います。

サーバーレスコンピューティングとアプリケーションの詳細については、こちらをご覧ください。